ここは・・・どこだろう。
先ほどいた場所とは、雰囲気の全く違う空間にいた。
・・・というよりはその、吸い込まれたというか。
如何様にしてここに着いたのか、思い出せない。
記憶の部屋から、それだけ持っていかれたような感覚。
ふと手元を見ると、なぜか紫色の糸を握っていた。
あたりを見回すものの、暗くてよく分からない。
闇雲に辺りを彷徨うよりは、この糸を辿った方が分がいいだろう。
そう思い、暗黒が支配する中、糸を頼りに進んでゆく・・・。
やがて、ひとつの扉が存在した。
そう、見えてきたというより、ぱっと現れた感じだ。
明らかにおかしいという思考にしばし葛藤を強いられたが、
他に目に付くものもないし、意を決してその扉を押す。
扉は、キィと小さく音を立て、すんなりと開く。
?「あら、いらっしゃい。こんな辺鄙なところに何の用かしら?」
彼女はいじわるそうな、しかしどこか優しげのある笑顔で声をかける。
よく見ると彼女の右手小指には自分が手にしていた糸が絡まっている。
しかも、その糸は明らかに短くなっていた。
この不気味な感触に身震いしそうだったが、着衣のきわどさに目を奪われていた。
?「ふふ、そんなにジロジロ見られると照れるわ。」
慌てて目を逸らし、うつむきがちに彼女に問いかけた。
・
・
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「あの、おばさ―」
紫「あらー?私の名前は八雲紫よ?貴方何て言おうとしたのかしら?」
彼女はみるみるうちに顔色を豹変させてゆく・・・
・・・しまった。
というか、なぜ俺はおばさんなんて言おうとしたんだ?
見た目で言えばおねえさんだろう、ああなぜだ、そうか、俺は誰かに操られているんだ、
そうだ、そうに違いない。急いで言葉を取り次いだ。
「あ、あの、おねえさ―」
・・・遅かった。彼女からはもう殺気しか感じ取れない。
紫「い・ま・さ・ら言い直しても遅いわよ」
くぱぁ
何かが開く音がした・・・と思った次の瞬間、意識は飛んだ・・・
BAD END